消しゴム版画と旅して
私にとって消しゴム版画は、自身を思いがけない世界へと導いてくれる旅先案内人のような存在です。
新たなモチーフとの出会いや、新たな人との繋がり、そして新たな美への気付き。消しゴム版画に誘われて巡る創作の旅は、いつも刺激に満ちています。
旅の途中で感じたこと、見つけたこと、創作のあれこれを思いのままに記していきます。
消しゴム版画との出会い
小さい頃から絵を描くことが好きだった私は、高校時代に油彩画も学びましたが、厚塗りの表現方法になじめず、その後長く絵画から遠ざかっていました。
消しゴム版画と出会ったのは14年前の11月。会社帰りに、次の電車まで時間をつぶそうと近くの書店に立ち寄りました。普段は店頭に並んだ新刊書をチェックすることが多いのですが、この日は誘われるように店の奥へ。時節柄、そこには大きな机の上に、年賀状の関連本が平積みにされていました。
「もう年賀状のシーズンか…」と思いながら通り過ぎようとした矢先、書店スタッフの方が付けたPOP(おすすめ本の目印)が視界に入りました。「どれどれ、どんな本かな」と手にしたのは、和のセンスで美しくまとめられた、我那覇陽子さんの作品集「消しゴムで和のはんこ」。敢えてざっくりとデザインされたはんこが、何ともいい味わいです。
すっかりインスパイアされた私は、書店を出る時には「面白そうだ、やってみよう」とチャレンジを決意したのでした。後日、用具を整え試してみると、彫刻刀で切り取られたフラットな図形の面白さや、鮮やかなインクの色彩にたちまち夢中になりました。
こうして、私と消しゴム版画の旅が始まりました。
(to be continued)

版をパーツに分ける
coming soon
彫と線
coming soon
彩色
coming soon
モチーフとの対話
coming soon